薬の副作用や薬害をテーマとした小説。
薬の副作用でおかしくなってしまった男性と、それを支える女性のストーリー。
交通事故で入院し、投与された痛み止めにより、脳に障害がでてしまう。
入院中から様子がおかしいなと思っていたら、退院したら、見事なキチガイになっていた。
頭の中が気持ち悪いと言い血まみれになるまで頭をかきむしる。ソワソワして無意味に部屋の中を歩き回る。文字が読めなくなり、書くこともできない。言葉を発しようとすると頭の中から消えていく。人間としての生活が出来なくなってしまった彼をなんとか治そうと奮闘する女性。
仕事ところではなくなり、貯金を食いつぶしながらの必死の看病。
病院に副作用の話をしにいくと医者に逆ギレされ、精神科へ行けと言われる始末。高次脳機能障害のような症状なのに認めてもらえず、なんの治療も支援も受けられない。
人がいるところに行くのが恐怖で、視覚過敏、聴覚過敏の症状があり、外にも出られない彼。
体に良い食事を作り、体を温めたり、マッサージしたり、優しい言葉で話しかけてみたり、絵やイラストを使ってみたり、思いつくことを全てためしてみる彼女。
そんな二人が2年かけて、ようやく外に出たり会話できるようになってきた。
カメラマンをやっていた彼のために仕事を探し始めるが、どこかに勤めるのはまだ無理。
そんな悩みを抱える中、知人から写真館をやらないかとの話がくる。
急な話で回転資金も何もないまま、手作りで小さな写真館を始める。
苦しんだものにしかわからない辛さがあるから、障害を持つ人、発達障害のこどもたちも楽しく撮影できる写真館になる。
障害はまだ残ってはいるものの、二人で力を合わせ、日常の幸せを取り戻しはじめる。
・薬のこわさ
・病院、医者の良くない点
・名前のない症状はどこからも助けてもらえない現実
・障碍者にたいする世間の目
・障碍者といっしょに暮らす大変さ
・仕事が出来ず貯金が減っていく経済的不安
・障害のある人との意思疎通をはかる知恵
・人間の体の回復力のすばらしさ
・なんにもない日常がどんなに幸せであるか
このようなことを美しい文章で表現した小説があればいいなと思います。
私が実際に体験したことですが、体験するまでは知らなかったこと、気づかなかったことばかりです。
皆様にもお伝えして、こんなことにならないように、幸せに生きてほしいと願います。